第132回月例セミナー(対面・オンライン開催)

2023年8月25日
講師 柴田隆氏 外務省国際協力局政策課

テーマ:「開発協力大綱の改定について」

講演内容:講演内容:政府開発援助大綱(ODA大綱)は、1992年に閣議決定された。2015年に「開発協力大綱」に名称変更され、2022年9月に林外務大臣から開発協力大綱の改定が発表された。2023年6月に新たな開発協力大綱が閣議決定された。その背景と狙いは、国際社会が複合的危機に面しており、開発途上国への関与が必要だったからだ。相手国にとっても魅力的な形で積極的に提案し、案件形成を行っていく「オファー型協力」が新たな施策として加わっている。民間会社や公的金融機関、国際機関などを開発プラットフォームに巻き込んで連携し、互いの強みとさまざまな協力を組み合わせることで、開発効果を最大化させる。

 開発シナリオを実施するための協力メニューとしては、今後の協力メニューの組み合わせの例として、「ODAを通じ日本の民間企業や地方自治体などの知見を活用し、低炭素型施設を整備するとともに産業の多角化を整備する。さらにアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の実現に向け、クリーン電力や制度構築・人材育成の支援を通じ、開発途上国の脱炭素化を支援するとともに、新エネルギー(水素・アンモニアなど)のバリューチェーンを構築する。また、鉱山周辺の関連インフラを整備するとともに、地域開発を支援するほか、オファー型協力強化のため、包括的な協力パッケージの提案の推進や無償資金協力と技術協力のプロセスの迅速性、機動性も強化する。さらにJICA海外投融資の活用を拡大する。

第132回月例セミナー